婦人

婦人科とは

婦人科は、女性特有の症状や病気を中心に診療していきます。具体的には、卵巣や子宮といった女性にしかみられない臓器をはじめ、月経(生理)痛が強い、下腹部痛があるという場合や性感染症、更年期障害などの診察・検査・治療を行います。

受診のおおまかな流れですが、まず受付にて問診票をお渡ししますので、今現れている症状などについてご記入いただいてから診察となります。

なお婦人科の診療では、内診(性器への視診、触診)を常に行っているわけではありません(内診が必要でも抵抗のある患者様には経腹超音波検査を行うこともあります)。

必要に応じて、様々な検査の中から適したものを選択していきます。気になる場合は、お気軽にご相談ください。

婦人科でよく見受けられる症状

婦人科で診療する代表的な疾患・症状

月経異常

月経異常とは

月経は、およそ1ヵ月の間隔で起きるもので、数日程度で自然に治まる周期的な子宮内膜からの出血のことを言います。

通常であれば、月経周期は25~38日、月経の経血量は20~140ml、月経の持続期間は3~7日間といったサイクルや経血量になるわけですが、このような正常とされる月経周期、持続期間、月経血量でない場合を月経異常と言い、また月経前や月経時にみられる不快な症状によって日常生活に支障をきたしている、初経(平均発来年齢は10~14歳)が早い(10歳未満で発来)、あるいは遅い(15歳以上で発来)、閉経が早いあるいは遅いという場合も含まれます。

月経異常が疑われる場合は、検査をして原因を特定し、その結果に対する治療を行っていきます。なお月経異常につきましては、以下の種類があります。

早発月経 10歳未満で初経(初潮)が発来した場合を言います。エストロゲン(女性ホルモンの一種)の分泌が早い年齢から亢進するようになると低身長になることもありますが、可能性として頭蓋内腫瘍や中枢神経性障害といったことも考えられます。
遅発月経 15歳以降に初経が現れた場合をいいます。18歳を過ぎても初経が来ていないと原発無月経と診断されます。なお15~18歳の間に初経が発来しているケースでは体質的なことで遅れているというケースが大半ですが、16歳になっても初経がみられなければ1度ご受診されることをお勧めします。原発無月経は遺伝的要因で起きやすいとされ、原因としては、染色体異常やホルモン分泌異常によって正常に卵巣が機能しない、子宮や膣の欠損(膣中隔、膣欠損 等)といったことも考えられます。
早発閉経 日本女性の平均的な閉経年齢は50歳前後と言われていますが、主に43歳未満で閉経した状態を言います。この場合、骨粗しょう症や動脈硬化といった閉経後によくみられる症状が強く出るようになります。
遅発閉経 55歳を過ぎてから閉経した状態になります。この場合はエストロゲンなど女性ホルモンの作用は持続しているので骨粗しょう症のリスクは低減されますが、女性ホルモンの分泌期間が長ければ、子宮体がんや乳がんなどの発症リスクが上昇するようになります。
頻発月経 月経の周期が24日未満と通常よりも短い状態です。この場合、頻繁に月経による出血があったとしても間隔が短いために無排卵性出血の可能性があるほか、排卵があったとしても黄体機能不全を起こしていることも考えられます。
稀発月経 月経の周期が39日以上~3ヵ月未満である場合を言います。これは無排卵や卵胞期が延長することで起きるとされ、無理なダイエットや急激な肥満で引き金となることもあります。ちなみに3ヵ月以上月経が止まっている場合は無月経と診断されます。この場合は排卵障害が原因なことが多いです。
過少月経 月経時の出血量が異常に少ない状態(20mL未満)で、これは月経が来たかどうかの確認もしにくい程の量です。過小月経が続くと無月経のリスクも高くなるほか、過短月経も伴いやすくなります。原因としては、子宮内膜炎の後遺症、子宮発育不全といったことが考えられます。
過多月経 月経時の出血量が異常に多い状態(140mL以上)で、その量はナプキンが1~2時間程度しかもたない程と言われています。また月経痛の症状が出やすく、過長月経を伴いやすいという特徴もあります。原因としては、子宮筋腫、子宮腺筋症、血液凝固障害といった疾患などが挙げられます。
過短月経 月経の持続期間(出血している日数)が2日以内で終了する場合を言います。この状態というのは、月経の有無がわからない程です。正常の持続期間より短いと女性ホルモンの分泌量が少なくなるので、子宮の発育不全などが起こりやすくなります。原因としては、子宮内膜炎の後遺症や甲状腺機能の異常などがあります。
過長月経 月経の持続期間(出血している日数)が8日以上続いている状態で、長いケースだと2週間程度続いたということもあります。原因に関しては、過多月経と同様に子宮筋腫、子宮腺筋症、血液凝固障害などによって引き起こされると言われています。またこの場合は、無排卵周期や黄体機能不全も考えられるので、一度ご受診ください。
月経前症候群(PMS) 月経が始まるとされる3~10日程度前から引き起こされる、精神的あるいは身体的な症状のことを言います。精神的な症状とは、不安感、イライラ、抑うつ状態などで、身体症状は乳房の痛みや頭痛、顔面や手足のむくみといったものです。ただ、月経が始まるとこれらの症状は治まる、あるいは軽減されるようになります。なお発症の原因については、ホルモンバランスの乱れが挙げられています。
月経困難症 月経に伴って起こるとされる不快あるいは病的な症状のことで、腹部の膨満感、頭痛、下腹部痛、嘔吐・吐き気などが見受けられ、これらが日常生活に支障をきたしている状態を言います。月経の直前もしくは開始時から現れはじめ、月経が終了直前もしくは、終了と同時に消えるようになります。原因は主に2つあるとされ、子宮内膜症や子宮筋腫など原因疾患がある場合(器質性月経困難症)と原因疾患はなく、排卵の際に分泌される子宮収縮物質のプロスタグランジン(ホルモンの一種)によって引き起こされるケース(機能性困難症)があります。

卵巣機能不全

卵巣機能不全とは

卵巣機能不全とは、卵巣から分泌されている女性ホルモンが低下している状態です。発症の原因はいくつかあるとされていますが、その中で最も多いとされているのが精神的なストレスです。そもそも女性ホルモンが卵巣から分泌される場合、脳の視床下部に促される形になるわけですが、この視床下部は自律神経をつかさどる器官でもあります。

そのため、自律神経がストレスの影響を受けて乱れるようになると、卵巣にホルモン分泌の命令がうまく出せなくなって低下していくようになるのです。ストレス以外にも、卵巣の器質的な障害や脳の下垂体の何らかの疾患といったことも考えられますが、その可能性は少ないと言われています。

主な症状は、月経が来ない(無月経)、過長月経、稀発月経といった月経異常ですが、月経の周期が乱れていても定期的に月経がみられる、排卵が起きているという場合は心配の必要はありません。ただ、症状を悪化させると無月経、無排卵がみられ、不妊症となってしまうので要注意です。

このほか分泌低下による、ホルモンバランスが乱れによって、イライラ、疲労感、めまいといった更年期障害と同様な症状がみられることもあります。

不正出血

不正出血とは

月経以外でみられる性器からの出血のことを不正出血(または不正性器出血)と言います。

なお性器からみられる出血の原因というのは様々で、ホルモンの分泌異常の場合もあれば、子宮に何らかの疾患(子宮頸がん、子宮体がん、子宮ポリープ など)を抱えている、閉経後に膣の粘膜が薄くなったことで起きる出血(萎縮性膣炎)、外傷(外陰、膣の傷)による出血、妊娠性出血などが考えられます。

ちなみに出血以外の症状としては、痛みが出ることもありますが、これは原因によって出ることもあれば、出ないこともあります。

なお不正出血については、出血の頻度がそれほど多くない、出血はよくするが少量だから気にしないなど、自己判断によって経過観察をするといったことはしないようにしてください。なぜなら、出血の頻度はたまにある程度、あるいは出血の量が少ないといった場合でも重症疾患が原因となっていることがあるからです。

いずれにしても月経時以外の出血が確認されたら一度ご受診されるようにしてください。

子宮内膜症

子宮内膜症とは

本来であれば、子宮内膜の組織(子宮内膜様組織)というのは子宮内腔のみでしか存在しないものですが、この組織が内腔以外の卵巣、卵管、子宮周囲の腹膜といった部位にも存在している状態が子宮内膜症です。

これは何の問題もなく生殖機能が正常に機能している女性の1割程度にみられるとされ、なかでも20~40歳代の成熟期の女性に見受けられ、卵巣に子宮内膜様組織が発生している場合は、チョコレート嚢胞と呼ばれ、卵巣がんを発症するリスクを高くさせます。

よくみられる症状ですが、子宮内膜様組織が発生している場所、同組織の大きさ、周囲の組織に炎症を起こすなどして発生する癒着の程度などによって異なりますが、月経困難症でみられる痛みや不快な症状、性交痛、排尿痛などがみられます。

このほかにも不正出血、月経の経血量が多いといったことや、先でも触れた卵巣内でのチョコレート膿胞の発生といったことがあります。また不妊の原因にもなりますので要注意です。

このほか特徴として、発生間もない当初は自覚症状が出にくく、月経を繰り返していくことで痛みの症状が強くなっていくことで気づき、さらに進行すると日常生活にも支障をきたすようになります。

発生の原因については、完全に特定したわけではありません。ただエストロゲン分泌量の増加、腹腔内で逆流する月経血量の増加などによって、子宮内膜症を発症するリスクは高くなると言われています。前にも触れましたが同疾患は、不妊症にも関係していくので、将来的に妊娠を希望される方は、定期的に子宮内膜症の検査(血液検査 など)を受けられるようにしてください。

子宮筋腫

子宮筋腫とは

子宮に発生する良性腫瘍のひとつで、子宮筋層の平滑筋に発生するようになります。子宮筋腫を増大させるのにはエストロゲンが関与しています。そのため閉経を迎えるようになると発症も減るようになります。

30~40代の女性に発症しやすいのが特徴で、腫瘍そのものが生命に影響を及ぼすことはありませんが、あまりにも大きくなりすぎると、それによる症状が現れるなどして治療が必要になります。

なお子宮筋腫は発生する部位によって診断名が異なり、主に3つ(粘膜下筋腫、筋層内筋腫、漿膜下筋腫)に分類されます。それぞれの特徴は次の通りです。

粘膜下筋腫 子宮内膜のすぐ下に発生する筋腫のことで、筋腫自体は子宮内腔で発育するようになります。筋腫そのものは、それほど大きくなることはありませんが、3つのタイプの子宮筋腫の中では最も症状が強く、不正出血や月経が時間をかけて長く続く、月経時の出血量が多い、下腹部痛、貧血、ひどい月経痛、頻尿、便秘などがみられます。この場合、早産や不妊の関連性が高いことから、手術療法(筋腫核手術)が行われることもあります。
筋層内筋腫 子宮筋層内に発生し、発育する筋腫です。全子宮筋腫の患者様の中で最も多いタイプで、この筋腫は筋肉の中で大きくなりやすく、多発しやすいという特徴があります。発生して間もなくは、違和感が子宮内に軽くみられる程度なので自覚症状が出にくく、病状を進行させやすくなります(発見が遅れることがよくある)。筋腫が大きくなると子宮が変形していくようになるのですが、それによる症状として、過多月経、便秘、頻尿、腰痛、下腹部痛などがみられるようになります。また、筋層内筋腫が発生した箇所によっては、流産や不妊のリスクも高くなるので要注意です。
漿膜下筋腫 子宮漿膜という、子宮の外側を覆っている部分のすぐ下に発生する筋腫のことで、これは外側に向かって成長するようになります。症状が出にくいのが特徴で、自覚症状がみられる場合は頻尿、下腹部痛、腰痛などが現れることがありますがいずれも軽度ですが、筋腫が1~2kg程度まで大きくなると、周辺臓器を圧迫して、水腎症、排尿障害、便秘、腰痛などがみられます。また筋腫が茎捻転(捻れるようになる)を起こすと急性の腹痛に見舞われるようになります。

症状の改善が困難な場合は手術療法

なお子宮筋腫は原因が完全に特定されているわけではなく、医学的根拠を示すとされる予防法も現時点では確立していません。また筋腫の成長の程度、増殖のスピードなどにも個人差があります。したがって数mm程度の小さなものから10kgを超えるものまでいろいろで数が複数以上ということも珍しくありません。このほかにも可能性としては稀ですが子宮肉腫(がんの一種)と鑑別がつかないケースもありますので、子宮に腫瘍が見つかったという場合は精密検査や定期検査をすることもあります。

ただこれといった症状がみられなければ、筋腫の成長の程度などを確認しながら経過観察をしていきます。そして子宮筋腫が大きく成長し、酷い症状が出ているのであれば、薬物療法(ピル、ホルモン薬 など)によって症状を軽減させる、筋腫の成長を抑えるといった薬物療法による治療が行われます。それでも症状が改善しなければ手術療法となります。この場合、将来的に妊娠を希望しなければ子宮ごと筋腫を取り除いていく子宮全摘術が、また将来的に妊娠を希望される患者様には筋腫のみを切除する筋腫核出術が行われます。

性感染症

性感染症とは

性交あるいは性交によく似た行為によって、性器などの粘膜や皮膚に接触するなどして感染し、発症している状態を総称して性感染症と言います。病原体としては、細菌、ウイルス、原虫、真菌などがありますが、これらに感染することで、外陰部にかゆみ、おりものの増量、不正出血、排尿痛、水泡、ビラン、いぼ状のできものなどの症状がみられるようになります(性感染症によっては無症状ということもあります)。

これらの症状に心当たりのある方は一度ご受診ください。診断をつけるための検査として血液検査をするなどし、治療が必要な場合は、抗菌薬や経口薬、外用薬、あるいは注射などをしていきます。

主な性感染症

淋菌感染症、梅毒、性器クラミジア感染症、性器ヘルペス、尖圭コンジローマ、B型ウイルス性肝炎、HIV感染症、性器カンジダ症、膣トリコモナス症 など